潤滑工学・トライボロジーの観点からのグリス・潤滑油の選択
グリスや、オイルはなぜ塗るのかというところで、出てくるのが表題の学問です。キーワードとして検索をかけてみると、その概念や理論がまとまったページが出てきますので、ご興味が湧きましたら、ぜひ調べてみると面白いと思います。
回転するところ-軸受や、擦れ合うところの表面は、どこまでなめらかにしても凸凹が残ってしまうものです。また、それらの素材同士の相性により張り付きやすかったりくっつきやすかったりすると、更に摩擦が増えてしまいます。また、そういう状態で引きずってしまうと、双方の素材が摩耗し、傷が増えれば更に摩擦は大きくなるという悪循環になります。最後は軸受や摺動面が焼き付いたり、摩耗変形して機能しなくなります。
グリスや、オイルは、それらの部品同士の隙間に入り込んで、接触している部分をなるべく減らし、素材同士を引きはがして浮かせて、滑りやすくするために塗るものです。また、添加剤等により、素材表面に化学変化(金属表面のみ)を起こして表面を滑りやすくする効果もあります。
ですので、我々が扱っているグリスは特にそういう油膜形成・保持力が強く、油のなじみがよくて持続性のあるもの、有効な表面を確実に作れるものを選んでご提供しています。
結果として、若干ではありますが(標準的なものだとは思います)、グリスや、オイル成分の粘性抵抗により少しだけ重めになってはいますが、とにかく潤滑を確実、安定的に行い、軸受や摺動面を保護するという点においては、他のものに引けを取ることはなく、優れているものをご提供できていると考えています。
しかしながら、ごくわずかでもその潤滑油の粘性抵抗すら許容できない使用条件や、領域があるのは認識しておりまして、ドライ状態でもなめらかに回転する軸受を予め選別し、その上で寿命を犠牲にしてでも使うという場合には、我々のグリスやオイルは適当ではない場合があります。
ドライコーティングの潤滑剤はないの?ともお声掛けいただいていますが、選別した高精度ベアリングを低粘度オイルやドライコーティング潤滑剤でごく短期間のうちに使い捨てるような運用をするのは、お財布にもやさしくないし、管理に手間がかかるものです。
そもそも、とにかくメンテナンス時間を減らして(できれば組み立てたあとは分解注油等をなるべくしなくて良くて)、その分もっと遊んでいただきたいし、練習していただきたいという観点から、グリスや潤滑油を供給はじめたところですので、その方針をご理解頂ければと思います。
なお、今月より少し耐久性を犠牲にしていますが、より低抵抗のオイルをnm技研が扱う予定にしておりますので(当面は通販サイトでのみ委託販売いたします)もし、試してみたい方がおられましたらご検討ください。軸受寿命はあのオイルに比べますと確実に縮まりますので、それでもなおという場合にお使いください。注油頻度も増やす必要があるかと思います。
現状、我々のグリス・潤滑油に関しましては、実際に目に見える効果が皆様に体感・認識いただけているようで、口コミや、お取り扱い店様の推薦により、販売が徐々に拡大・伸びており、ありがたい限りであります。
また、あのグリスと例のグリスは来月発売1周年という長期に渡ってご愛用いただけており、生産を続けられているのも、ひとえに皆様のご愛顧のおかげだと思います。
今後ともご贔屓にお願いできたらと思います(*´ω`*)
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